四式中戦車チト探索 準備風景
2012年11月25日(日)午前10時、四式中戦車「チト」探索メンバーは、現場近くの瀬戸橋付近にある松島館の第2駐車場に集合して、探索に使用する鉄パイプをクルマに積み込み、現場に向かいました。
今日の主役、鉄パイプが現場に運びこまれました。参加メンバーは、スマッペ以外に、戦車、ダイビング、海底調査の専門家の方が県外から多数来ていただき、これから始まる歴史的な事業への想いを胸に、現場の猪鼻湖の湖面を眺めています。
テレビ、新聞など、たくさんのマスコミの方々が取材に来ていただきました。
探索開始にあたり、スマッペ事務局長の中村健二さんから、今日の作業の概略説明が行われました。
今日の作業ポイントは、
1.湖面に作業範囲を特定するためのブイを浮かべ、その範囲内を1一定間隔で探索
2.湖底の堆積物の量を確認
3.鉄パイプによる探索で戦車の沈んでいる位置を特定し記録する
四式中戦車チト探索 開始
調査手順にそって、まずは、探索箇所のヌケモレや重複による時間のロスがないように、範囲内を一定間隔で探索するために、湖面に作業範囲を特定するためのブイを浮かべる作業からスタートしました。
ブイ作業と並行して、今後の本格調査のためにも、60年以上の間に戦車の上にどのくらいの堆積物があるのかを知るために、湖底の堆積物の調査を行いました。
三ヶ日高校の協力を得て、海底堆積物の深さなどを計測する機材を湖底に落とし、採取して引き揚げる作業を3回行いました。
採取した湖底堆積物です。事前の町内住民へのヒアリングでは、3m近く堆積物が溜まっているのではないかというイメージでしたが、実際の調査結果からはせいぜい20~30cmの堆積物と推測できます。
これは、探索においては調査しやすくなるプラスの結果です。
そして、本日のメインイベント、鉄パイプによる探索が始まります。5mの鉄パイプをクランプでつないでいき、湖底を突くために鉄パイプが船に乗せられます。
船の長さから、地上では2本つなぎの10mまでの鉄パイプが限界なので、湖底を突きながら必要に応じて、船上で鉄パイプをつないでいきます。
湖底までの深さは15m前後で、4本の鉄パイプをつないで湖底を突きますが、水の流れがかなり強く、垂直に鉄パイプで突くのはかなりの重労働で、全員の協力体制のなかで進められました。
四式中戦車チト探索 金属音探知!
作業開始から約2時間、当初の終了時間が近づいたので、お集まりいただいたマスコミ関係の方に、今日の作業総括を中村事務局長から説明を始めました…、すると…「金属音がしたぞ~!!」
岸に残った参加メンバーは、その瞬間、「まさか」という静かな反応でしたが、船上の興奮気味のメンバーの様子から、「金属音探知」の事実を受け入れつことができ、全員から興奮の歓声があがり始めた。
金属音探知=戦車が沈んでいる場所、その場所を特定するために、GPS機能を搭載したパソコンを積み込んで別の船が行き、場所の記録を行いました。
岸に戻った「金属音探知メンバー」は、マスコミの取材に興奮した気持ちを抑えきれずに、インタビューに応じていました。
こうして、今日の「四式中戦車『チト』探索」は、目標としていた「戦車が沈んでいる現場特定」に、「金属音探知」という最高の結果をもって終えることができました。
四式中戦車チト探索 金属音収録には失敗
金属音を探知したことろで、仕事に戻るメンバーや用事のあるメンバーもいて、いったん解散となりましたが、一部メンバーが残って金属音を収録しようということになりました。
場所が特定できたので、金属パイプでなくアンカー(碇)でも音が聞こえるだろう、といことでアンカーによる調査を再開しました。しかし、アンカーでは金属音を確認することはできませんでした。
あきらめの悪い残留メンバーは、再度、鉄パイプを乗せて、何とか金属音の収録をしようと探索を再開しました。
しかし、満潮が近くなり潮の流れが速くなったことに加え、メンバーが減ったことで1台の船での作業では、鉄パイプを垂直にたてることが非常に難しく、結局、金属音の収録は失敗に終わりました。